保険適用3年目の件数は、1年目の約6.5倍に
結腸がんのロボット支援手術(手術支援ロボットを使って行う腹腔鏡下手術)は、2022年4月に保険適用となりました。その件数は、1年目(2022年度)の1,652件から3年目(2024年度)には10,674件と約6.5倍に増え、結腸がんの腹腔鏡下手術の約5件に1件(19.55%)を占めるようになりました。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(理事長:荒井秀典、病院長:松浦俊博。以下「国立長寿医療研究センター」)糖尿病・内分泌内科部の大村卓也医長、循環器内科部の上原敬尋医師の研究グループが調査しました。
研究グループは、厚生労働省が公開する全国の保険診療の集計データ「NDBオープンデータ」を用いて、保険適用後3年間の利用状況を調べました。全国的に利用が広がる一方で、広がり方は都道府県(医療機関の所在地)によって異なりました。
本研究は、NDBオープンデータを用いて、新しい医療技術の普及状況と地域差を継続的に把握できることを示しました。
本研究成果は、国際学術誌「Journal of Robotic Surgery」に受理されました(オンライン掲載日:2026年10月12日)。
2022から2024年度の結腸がんの腹腔鏡下手術(おなかの小さな穴からカメラと器具を入れて行う手術。ロボット支援手術を含む)の件数のうち、ロボット支援手術が占める割合を、全国と都道府県別に調べました。件数が少ない場合などは値が公表されないため、3年間の経年比較は、毎年度の値が公表されている33都道府県で行いました。
全国の割合は、2022年度3.38%、2023年度11.40%、2024年度19.55%と上昇しました(図1左)。3年間比較可能な33都道府県では、都道府県別割合の平均も3.09%から18.85%に上昇しました。2024年度は全47都道府県で値を確認でき、割合は0から約41%でした(図1右)。

図1 腹腔鏡下手術に占めるロボット支援手術の割合(左:全国、右:33都道府県)
ロボット支援手術は、保険適用から3年で全国的に広がった一方、利用状況には都道府県による違いが残りました。本研究は、NDBオープンデータを用いて、普及状況と地域差を継続的に把握できることを示しました。こうした情報は、地域ごとの利用状況の違いを把握し、設備、医療人材、研修・紹介体制など、医療提供体制をより詳しく検討する手がかりになる可能性があります。
数値は保険診療で請求された手術件数であり、治療の優劣や地域の医療水準を示すものではありません。件数は公費レセプト(公費負担医療の請求)を除きます。割合は腹腔鏡下手術の中での割合です。都道府県は患者の居住地ではなく、手術を行った医療機関の所在地です。地域によって異なる理由は分析していません。
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