超高齢社会のわが国では糖尿病を含む生活習慣病が増加傾向にあり、特に糖尿病では高血糖、インスリン抵抗性、慢性炎症などによりサルコペニアが発症しやすく、高齢者糖尿病に伴うサルコペニア進展はADL低下、要介護、死亡率上昇につながるため、効果的な予防法確立は医学・社会学的に喫緊の課題です。
サルコペニア予防には適切な栄養管理が重要ですが、サルコペニアの高リスク群である高齢者糖尿病における栄養管理とサルコペニアに関する研究は不足しており、エビデンス構築が求められています。
本研究では、高齢者糖尿病のサルコペニア予防の為の至適栄養状態(熱量・PFCバランス)と必須アミノ酸・ロイシン代謝物のβ-Hydroxy-β-MethylButyrate(HMB)の効果を解明し、サルコペニア診療の質向上に資するエビデンス創出と効果的な栄養管理法の確立を目指します。
本研究では、以下の3つの個別研究課題に取り組みます。
本研究の完遂により、急増する日本人高齢者糖尿病のサルコペニア予防に対する至適栄養管理のエビデンスが創出でき、これにより効果的な栄養管理法の提唱や栄養指導支援を目的とした教育資材の開発につながることが期待されます。また、本研究成果は、高齢者糖尿病における食事・栄養療法の均てん化、診療の質の向上、アンメットメディカルニーズ(いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズのこと)の高いサルコペニアに対する効果的な予防法確立に繋がり、健康寿命延伸や医療費抑制など超高齢社会のわが国の医療と福祉への貢献は極めて大きいものと考えています。