このたび、国立長寿医療研究センターでは、専門外来「肥満・メタボ外来」を新たに開設いたしました。
近年、肥満やメタボリックシンドロームは、糖尿病や高血圧、脂質異常症、さらには心血管疾患や慢性腎臓病など、さまざまな生活習慣病のリスクを高めることが明らかになっています。当センターでは、健康寿命の延伸を目指し、科学的根拠に基づく医療で、肥満・メタボリックシンドロームの改善に取り組みます。
当外来は、肥満症治療薬の処方が可能な、日本内分泌学会および日本糖尿病学会の教育研修施設です。医学的管理のもと、以下の肥満症治療薬の処方が可能です。
注1)セマグルチド:グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬という種類の薬で、血糖コントロールの改善、食欲抑制、体重減少等の効果が期待できます。
注2)チルゼパチド:GLP-1およびグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)受容体作動薬という種類の薬で、血糖コントロールの改善、食欲抑制、体重減少等の効果が期待できます。
これらの薬剤は、医学的に肥満症と診断された方に対して、半年以上の食事療法・運動療法による生活習慣改善を行ったうえで、十分な効果が得られなかった場合に限り処方対象となります。
なお、当外来での薬剤処方は、あくまで医学的治療を目的としたものであり、美容目的や単なる痩身希望による処方は行っておりません。この点について、ご理解とご協力をお願いいたします。また、高齢者の肥満に対して、どこまで、どのように減量するかについては、エビデンスに乏しく、今後十分な検証が必要です。当院では肥満症に合併する併存疾患やフレイル、認知機能低下などを総合的に考慮した上で最善の治療法を選択します。
肥満やメタボリックシンドロームにお悩みの方は、ぜひご相談ください。専門医をはじめとする多職種チームが、個別に最適な治療をご提案いたします。