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長寿NSTニュースレターVol.49
2026年8月
日頃よりNST活動へのご理解とご協力ありがとうございます。2026年7月7日にNSTによる勉強会が開催されました。当院は高齢患者さんの入院が多く、低栄養のリスクが高いため、今回は基本的なNSTの活動内容や栄養に関する認識を広めることを目的として、看護師と管理栄養士が講義を行いました。 その内容の一部をご紹介します。
栄養サポートチーム(Nutrition Support Team)・・・患者さんに対して最適な栄養療法を提供することを目的とした、多職種で構成される医療チームです。
当院のNSTの活動は、週に一度のカンファレンスと病棟ラウンド、月に一度の委員会を開催しています。昨年度のNSTへの依頼は、医師からが最も多く、次いで看護部、さらに栄養管理部や薬剤部からの依頼が続きました。 講演では具体的な依頼方法についても紹介があり、どの職種からでもNST介入の依頼が可能であるため、担当患者さんの栄養面で気づいたことがあれば、担当医師や栄養士へ相談するよう周知されました。
NSTへの主な依頼内容は、以下の通りです。
食事摂取量が低下している患者への個別対応
褥瘡や熱傷のある患者の食事対応
化学療法後の患者の食事対応
術後の低栄養
栄養ルートの選択
排便コントロール
NSTが介入することで可能となる支援には、栄養補助食品の検討、輸液管理、経管栄養メニューの調整、嚥下機能評価に基づく適正な食形態の提案、排便コントロールに関する助言などが挙げられました。それに伴い、体重の測定が重要であること、またNSTからのお願いとして、介入時に以下の情報を共有していただけると、より適切な支援につながります。
患者さんが希望する治療の範囲(治療方針)
退院先の予定
BSC(Best Supportive Care)の有無
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の確認状況
ご家族の希望や意向
これらの情報が事前にわかることで、NSTとしても介入しやすくなります。

ヒトは常にエネルギーを消費しており、体の外から摂取した食べ物から栄養素を取り込み、それらを臓器や組織の材料として利用しながら、生命維持に必要なエネルギーを作り出しています。食べる→消化吸収する→エネルギーを得る、という一連の働きによって生命活動を保っています。けがや病気の治療中は、組織の修復や回復のために通常より多くのエネルギーが必要になります。つまり、治癒の過程ではエネルギー需要が高まっている状態です。このように、栄養管理はすべての治療の基盤となる重要な要素であり、適切な栄養が確保されてこそ、治療効果が十分に発揮されます。
エネルギーの貯蔵物質であるグリコーゲンは、体内で比較的すぐになくなると考えられています。その後、体脂肪が少しずつ減少していきますが、ある程度のところで下げ止まりが見られます。一方、筋肉(タンパク質)の分解はゆっくりと始まり、ある時期を境に急激に進行します。このように、体に蓄えられているエネルギーは、グリコーゲン→脂肪→筋肉(タンパク質)の順に消費されていきます。
栄養スクリーニング(NRS2002 MNA-SF MUST 等)
低栄養診断(GLIM基準)
栄養管理計画
栄養管理の実施
モニタリング・効果の判定
3の栄養管理計画へ戻る
JSPENガイドラインで強く推奨されている投与エネルギーは、
体重当たり25から30kcalを基準とし、ストレスの程度に応じて増減する。
間接カロリメトリーにより安静時消費エネルギー量を測定して算出する。
Harris-Benedict式などを用いて基礎エネルギー消費量を予測し、活動量や病態によるエネルギー代謝の変化を考慮して算出する。
体重当たり0.8から1.0g/日を基準とし、病態およびストレスの程度に応じて増減する。※疾病・病態に応じ個別に評価する
体重当たり30から40mL/日を基準とし、病態に応じて増減する。
1.0mL×投与エネルギー(kcal/日)として算する方法もある。投与エネルギー量が少ない場合には水分量が不足するので注意する ※経腸栄養の場合、「投与量≠水分量」であることに注意すること。
| メリット | デメリット | その他 | |
| 経口摂取 |
最も生理的な摂取方法 療養場所を問わない ONSなど選択肢も多い。 |
嚥下・咀嚼機能低下した場合、形態調整が必要。 嗜好による摂取不良。 |
エネルギー必要量を確実に充足する必要がある場合には、経口摂取に固執せず、経管栄養や静脈栄養を併用も積極的に考慮する。 |
| PPN |
経口摂取と併用しやすい。 電解質・水分は確保が可能。 |
単独で必要な栄養は充足できない。 長期利用しない(2週間まで)。 福祉施設では継続不可なことが多い。 |
※脂肪乳剤を使用する場合は、ルートは毎日交換 |
| TPN | 経口摂取と併用しやすい。 |
基本的には持続投与(24時間) 福祉施設では継続不可なことが多い。 |
※脂肪乳剤を使用する場合は、ルートは毎日交換 |
| 経鼻経管 | 比較的非侵襲的でカテーテル抜去後の後遺症もない。 |
長期使用には向かない。 抜去するリスク。 注入時間の確保。 |
4週間以上継続するなら、消化管瘻を選択する。 |
| 消化管瘻 |
福祉施設でも対応可能であることが多い。 使用できる栄養剤が多様。 注入時間の短縮も可能。 |
手術が必要、ネガティブなイメージが強い。 注入時間の確保。 |
医学的適応と合わせ、倫理・社会的な観点も考慮される。 |
何を基準に“栄養が良くなった”と判断するのかは、1から2週間といった短期間では評価が難しい場合があります。そこで重要となるのが、エネルギーが十分に満たされているかどうかを確認する視点です。そのために、摂取量と消費量のバランスを考えます。 食事、ONS、栄養剤、輸液などによるエネルギー摂取量と、疾患や炎症、活動量、リハビリなどによるエネルギー消費量を比較します。
体重変化は「体重変化=摂取エネルギー量−消費エネルギー量」で説明でき、以下のように評価します。
このため、週に1回程度の定期的な体重測定と、その推移をモニタリングすることが重要で、体重は測定して終わりではなく、前回値と比較し、変化の理由を考察することが必要です。
高齢者の中には、栄養介入によって元気を取り戻せる方もいれば、年齢や病状から改善が難しい方もいます。その見極めは簡単ではありませんが、本来元気になれるはずの方が、栄養の問題で状態を悪化させてほしくありません。食事がとれない原因を多職種で評価したく、NSTもチームとしてサポートしたいと考えていますので、ぜひお気軽にご相談ください。