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長寿NSTニュースレターVol.23
2015年6月
今号は5月13日に開催し、53名の方にご参加いただいた「平成27年度第1回栄養サポートチーム勉強会」の内容を中心に紹介します。勉強会の内容は、佐竹医師より「栄養スクリーニングについて」、小嶋管理栄養士より「NSTの依頼・運用方法」、今泉管理栄養士より「NST介入症例発表」を題目に行われました。
高齢者の栄養スクリーニング方法について、その必要性、評価方法、症例提示による実践(MNA®-SFによる評価)という流れで講義が進められました。
【要約】高齢者の日常診療において、認知機能や身体機能、精神心理面、生活・家族背景、介護度、ADLなどの総合的な評価から老年症候群の抽出が重要であり、原疾患の治療を考慮した評価と管理に加え、チーム医療で対応方法の検討を行っていくことが望ましい。栄養状態が悪いと体重が減少し、病気の治癒に時間がかかり、合併症の発生が高まり、死亡率が上昇したりする。
それらを予防するためにも栄養状態の評価が必要である。一般的に高齢者の栄養スクリーニングにはMNA®-SFが用いられ、食事摂取量減少の有無、体重減少の有無、自力歩行の可否、精神的ストレスの有無、認知機能低下の有無、BMIの6項目で構成される。低栄養とは、「生体機能を維持するために消費する量と摂取する量のバランスが崩れた状態」と定義されるが、健常時、飢餓時、侵襲(疾患)時の消費量が異なることから摂取量とのバランスが崩れやすくなる。スクリーニングの結果、低栄養を認めた場合は、補助栄養や栄養投与方法の検討が望ましい。急性期治療が落ち着けばCGAを行い多職種で情報交換することが望ましく、NSTがその一助となればと思う。最後には「The objective of Gerontology is not to increase lifespan, but to minimize disability and dependence in old age(老年学の目標は単に寿命を延ばすことではなく、障害や要介護状態に陥ることをいかに少なくするかである)」というDr.Nathan Shock(1908-1990)の言葉で締めくくられました。
食事摂取不良の認知症患者に対する介入例が挙げられました。
【要約】摂取量を改善すべく、食欲に影響すると思われる薬剤の調整、嗜好に配慮した食事の提供、食形態の工夫などを続けたがあまり効果が得られなかった。看護記録の振り返りから、食事介助では全量摂取している点、摂食意欲は保たれている点に着目し、食具の工夫などを行うことにより食事摂取量が改善した。多くの職種の視点からアプローチすることで改善が得られた例であった。
※『NSTの依頼・運用方法』については下記で触れます。
当日は、フロアからの質問もいただき大盛況で終えることができました。感謝いたします。
6月よりNSTラウンドおよびカンファレンスの方法が変更となります。これまでは、各病棟のスタッフステーションでカンファレンスを実施してきましたが、会議室で実施することとなりました。また、カンファレンス前にはベッドサイドでのラウンドを少人数で実施させていただきます。担当病棟の看護師さまには、事前に時間および場所を病棟アドレスへご連絡させていただきますので、ラウンドおよびカンファレンスへ参加のご協力をお願い致します。
毎週水曜日
14時30分 ラウンド(ベッドサイド)※少人数で実施
15時00分 カンファレンス(会議室)※全体で実施