別のお薬に換える方法もあります。
ドネペジルの副作用で手が震える(振戦)などの副作用が出ることがありますが、その出現頻度は添付文書上0.1~1%未満とされており、また症状は軽微なことが多いので過度に心配する必要はありません。しかしながら振戦が重度な場合、減量もしくは中止せざるを得ないこともあります。
さて,振戦のように比較的稀な副作用が出る場合、先ずは病気の診断が本当にアルツハイマー型認知症であるかを考え直す必要があります。ドネペジルの適応症は、アルツハイマー型認知症です。ドネペジルの適応がない認知症の場合、服用しても効果がないばかりか副作用が目立つ場合があります。
次に診断がアルツハイマー型認知症でほぼ間違えないと考えられる場合では、お薬の量がもともと多すぎた可能性も考えられます。ドネペジルに限らず、いかなるお薬も副作用を持っています。一般に副作用は、お薬の量が多いと出やすくなります。ドネペジルは通常一日5mgもしくは10mgで服用するのですが、海外では一日23mgまで服用しても良いとする研究結果もあり適正用量にはかなりの個人差があるようです。個人差があるのなら,5mg以下に減らしても効く人があってもおかしくないと思われますが、現時点では「少ない用量でも効果がある」とする質の高い医学研究報告はありません。
基本的に耐え難い副作用が出た場合、その原因となるお薬は中止すべきです。最近ではドネペジル以外にもアルツハイマー型認知症の進行を遅らせるお薬があります。お薬を換えることを検討してみてもよろしいかと考えます。