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ドネペジルが5mgから10mgに増量され、ドライアイを訴えるようになりました。薬を減量してもいいでしょうか?

認知症の症状とドライアイの症状のどちらがご本人さまの生活の質を落としているかを考えて決めましょう。

詳解

ドネペジルはアセチルコリン系を賦活する作用を持ちます。もう少し平たく表現すると、アセチルコリンという物質を増やす作用を持つと考えていただいて差し支えありません。これをコリン作動性と言います。

一方でドライアイの原因の一つに、アセチルコリン系の抑制が挙げられます。これも平たく表現すると、アセチルコリンが減ってしまうとドライアイになることがある、ということです。つまり、コリン作動性を持つドネペジルを飲んでドライアイになる可能性は低いと考えられます。事実、ドネペジルの添付文書の副作用の欄にドライアイの記載はありませんし、むしろコリン作動薬をドライアイの治療薬として考えている研究者もいるぐらいです。

したがって,ドライアイがドネペジルの副作用である可能性は低いと考えます。しかしながら、お薬のもつ作用(ここではコリン作動性)とはあまり関係ないのだけれど、お薬を飲むことで何らかの不快な症状が出ることがあります。こういった不快な症状は「副作用」とは言わず、「有害事象」という言葉で表現します。明らかな「副作用」であれば,お薬は止めるか減らすべきです。しかしながら不快な症状が「有害事象」の場合、その症状がどのぐらい生活の質を落としてしまっているかを考えてからお薬の変更を考えるべきです。

ドライアイの程度はいかがでしょうか?市販の目薬では治まらないレベルでしょうか?一方、認知症の程度はいかがでしょうか?お薬を減らしても大丈夫なレベルでしょうか?先ずはご本人さまの生活の質を考えましょう。