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手術して治る認知症があるとTVで観ました。本当でしょうか?

TV番組で取り上げられたことがあったのは、特発性正常圧水頭症(iNPH)という病気です。

私たちの頭の中には脳脊髄液という液体があり、脳の表面や溝の中などを潤しています。この液体は絶えず新しく作られては古くなったものが吸収除外されているのですが(健康成人では、1日に3回ほど新しく入れ替わっています)、加齢や動脈硬化など様々な原因によって、この入れ替わりが滞ると、脳脊髄液が頭蓋内に過剰に溜まり、脳を圧迫して機能低下を起こしたり、脳そのものにも何らかの影響(まだよく分かっていませんが)を与えることによって、認知機能、歩行機能、排尿機能の障害を引き起こします。

正常圧水頭症はTVなどでは「治る認知症」という紹介をよくされますが、認知障害よりもむしろ歩行障害が主症状という患者さんがおられます。最近歩くのが遅くなった、階段が上れなくなった、すこし蟹股になった、つまづきやすくなったなどという症状もこの病気の可能性があります。ただし、腰や膝が悪くてこのような症状が起こることも多いので見極めが大切です。

排尿障害も主症状の一つで、頻尿や尿失禁がその特徴です。排尿障害も前立腺肥大症など他の疾患との見分けが必要になります。この病気は放置していると少しずつ進行していきます。したがって、早めの診断・治療が望まれます。脳脊髄液シャントという手術で溜まった脳脊髄液を抜くことによって、今ある歩行障害や認知障害を軽くしたり、その後の症状進行を予防することが期待できます。