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すこやかな高齢期をめざして ~ワンポイントアドバイス~

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低栄養を回避する(2)~食事の質は良好ですか~ 【低栄養予防】

老化疫学研究部 Department of Epidemiology of Aging

高齢期の低栄養を回避するためには、食事の量と質を良好に保つことが大事です。トピックスNo.36「低栄養を回避する(1)~食事の量は適量ですか~」では「食事の量」を適正に保つ上でのポイントをご紹介しました。今回は「食事の質」に着目して、高齢期にはどんな栄養素が不足しがちか、また食事の質を保つ上でのポイントをご紹介します。

NILS-LSA(ニルス・エルエスエー)第7次調査(2010-2012年)に参加された60歳代、70歳代の方々の食事調査結果を「日本人の食事摂取基準()(2015年版)」と比較し、地域にお住まいの方々では、どのような栄養素が不足しがちか検討しました。その結果、60歳代、70歳代の男女ともに、2割以上の方々のビタミンAやビタミンB1、ビタミンB6、カルシウムやヨウ素摂取量が、必要と推定される摂取量(推定平均必要量)を満たしていませんでした。特にビタミンAやビタミンB1、カルシウムについては、性・年代により、5割以上の方々が必要と推定される摂取量を満たしていませんでした。つまり一般の方々でも、国の基準値と比較すると、ビタミンAやビタミンB1、カルシウムなどは、通常の食事において不足しがちであることが分かりました。

「日本人の食事摂取基準()」:健康増進法(平成14年法律第103号)第30条の2に基づき、国民の健康の保持・増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギー及び栄養素の量の基準を厚生労働大臣が定めるもので、5年毎に改定が行われている。

 

​ビタミンAは鶏・豚レバーやうなぎに、ビタミンB1は豚肉に、カルシウムは小魚や乳製品に多く含まれるため、これらの食品を摂取することが栄養改善につながるかもしれません。しかし、人によって食事の内容は様々ですので、一概に「この食品を食べたら健康に良い」とは言い切れません。では食事の質を良くするためにはどんなことを心掛けたら良いのでしょうか。

答えは「色々な食品を食べる」ことです。

NILS-LSAの調査では、色々な食品を食べている人ほど、ビタミンAやビタミンB1、カルシウムも含めて栄養摂取が良好であり、食事の質が良い傾向であることがわかりました。「色々な食品を食べる」とは、例えば図に示すように、魚介類、肉類、乳類など、色々な食品群の食材をできるだけ毎日の食事に取り入れることです。食品ごとに含まれる栄養素は様々ですので、普段あまり食べない食品群の食材を食卓に取り入れると、不足しがちな栄養素の補充に繋がり、食事の質が良くなると考えられます。

日本食品成分表を参照し、魚介類、肉類、乳類、野菜類、種実類、キノコ類、いも類、藻類、卵類、豆類、果実類、穀類の例をイラストで示した図。

図:色々な食材(食品群)

普段あまり食べていない食品群の食品を食卓に取り入れ、食事の質を高めましょう。

<コラム担当:大塚 礼>

*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています*
Otsuka R, Kato Y, Nishita Y, Tange C, Nakamoto M, Tomida M, Imai T, Ando F, Shimokata H, Suzuki T.
Dietary diversity and 14-year decline in higher-level functional capacity among middle-aged and elderly Japanese.
Nutrition. 2016; 32:784-789.

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