バイオバンクについて
About Bio Bank
バイオバンクとは
バイオリソースとは主に研究に用いられる実験動物や微生物、植物、細胞などの生物資源を指します。バイオバンクは、生物材料とそれに伴う情報を利活用することを目的として保管・管理し、必要とされる研究に広くまた公平に提供することが使命です。
医学や生命科学の研究に必要な研究材料の収集には時間と手間がかかります。特にゲノム医療や個別化医療といった新しい医療の形の実現、それに伴う大規模な統計解析を行い、その範囲や精度を高めるには多くの試料や情報を必要とします。また希少疾患や難病、新たに分類される病型なども一度に症例を集めることは総じて困難を伴います。さらに、研究試料の劣化や維持管理の中止、またその情報が不確かであったり、少なければせっかく集めた材料や情報の価値や研究の再現性が担保できません。これらの問題に対して生物材料とその情報のシステム化された管理が必要であり、その役割を担うのがバイオバンクです。
バイオバンクには、国内外ともヒトの生体試料(検体とも呼ばれます)と情報を扱うものが多く、主に一般住民を対象として追跡を行うことで病気の発症などの健康状態の変化を調べる研究を目的としたコホートバイオバンク、また、主に病気の発生・発症メカニズム、その診断法や治療法の開発などの疾患研究への貢献を目的としたヒトの疾病に関する試料や臨床情報、解析情報などを扱う疾患バイオバンクなどがあります。試料としては血液や組織、尿や便、血液や組織から得られた細胞や核酸などがあります。バイオバンキングは試料や情報の収集から、登録、保管のための処理、保管、提供、輸送などのさまざまなバイオバンクの活動を指します。バイオバンクによりその保管試料や活動内容は異なることがあります。
NCGGバイオバンク
NCGGバイオバンクは、国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(NCGG)のバイオバンクとして2012年の設立以来、ご提供に際して同意をいただいた多くのご来院の皆様のご協力により、認知症や関節症をはじめ、高齢者に特有な疾患の試料や情報を収集し、個人が特定されないようにして、これらの疾患の新たな診断法や治療法開発など、大学や研究機関、製薬企業などの研究開発へ提供しています。高齢者に特化した試料・情報の疾患バイオバンクとしては世界でも有数の規模となり、その成果としてアルツハイマー病の新しい疾患マーカーの開発などに繋がっています。
NCGGバイオバンクは、国内の国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)の各バイオバンクとネットワークを形成したバイオバンク事業(ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク、NCBN)に参画し、中央バンクで管理するNCBNカタログデータベースで、保有する試料や情報の一元的検索が可能となっています。
2024年には、バイオバンキングの国際規格(ISO 20387:2018)に基づく国内最初の認定バイオバンクの一つとなり、第三者評価による国際標準に沿った品質管理システムにより運営されています。