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プレスリリース:国立精神・神経医療研究センターが日本初 健常者対象の新オレンジプラン統合レジストリ『IROOP™』の運用を開始

平成28年6月22日

ロゴマーク

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構

 

国立精神・神経医療研究センターが認知症予防研究を目的とする日本ではじめての健常者対象の
新オレンジプラン統合レジストリ;『IROOP™』の運用を開始

本活動のポイント

✔認知症予防を目的とする40歳以上の健康な日本人を対象とした数万人規模のインターネットレジストリはこれまで存在せず、本研究が最初である。

✔登録者には生活習慣などのアンケートに答えていただくとともに、米国および日本で有効性が検証されている認知機能検査を電話で半年ごとに無料で受けていただく。

✔半年ごとの記憶機能の経過に関連する因子をアンケート情報から調査し、認知症の発症予防に役立てる。

✔認知症予防を目的とした臨床研究や認知機能の改善が期待される薬の治験に適した登録者に情報を提供する。

※新オレンジプランに基づく認知症予防を目的とした認知機能検査も実施する健常者レジストリ
(Integrated Registry Of Orange Plan; IROOP)

健常者レジストリ画像

図1 IROOP™の概要

 

 

 

概要

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP、東京都小平市、理事長:水澤英洋)は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の認知症研究開発事業の支援により国立長寿医療研究センターなどとともに認知症の発症予防に役立てるインターネット健常者登録システムIROOP™(アイループ)を開発し、6月20日より登録運用を開始します(iroop.jp)。

脳とこころの疾患の克服を目指すナショナルセンターであるNCNPは、新オレンジプランに基づく研究として、認知症が発症する前の症状をとらえ、生活習慣の改善などにより発症を予防する因子の解明と、認知機能の改善が期待される薬の開発のための臨床研究や治験促進を目的とする、認知症予防のための健常者レジストリのシステムを開発し、運用を開始します。

認知症は人口の高齢化とともに、世界規模で急増しつつあります。このため、認知症、特にアルツハイマー病に対する対策が急がれています。しかし、アルツハイマー病を根本的に治療する薬の開発が進んでいるとはいえません。この一つの原因として、せっかく治療の可能性がある薬が開発されても、その有効性を検証するに適した多くの方々に効果的に参加いただくことが難しいことがあげられています。一方、イギリスでは認知症の有病率は下がったという報告があります。この報告は、認知症において環境要因や生活習慣病への取り組みが重要であることを示していると思われますが、それを確かめるためにも多くの方々に研究に参加いただく必要があります。

このような状況をふまえ、本システムでは日本全国の40歳以上の健康な方々にインターネット上での登録を数万人規模で募ります。登録された方々には同じくインターネット上で生活習慣などのアンケートに答えていただくとともに、記憶機能を診断する簡単な検査を半年ごとに電話で受けていただきます。この検査の結果は登録された方ご自身がホームページ上でみることができます。この半年ごとの記憶機能の経過に関連する因子をアンケート情報から調査・解明を目指し、認知症の発症予防に役立てます。

さらに、この健常者レジストリの中で適した方々に、生活習慣の改善などにより認知症の発症を予防する臨床研究や、認知機能の改善が期待される薬の効果を確かめる治験をご案内します

また、数万人の登録を加速させるために、全国約400の国立病院や認知症疾患医療センター等に登録募集ポスターと冊子を設置し、インターネット上でも募集するなど、周知活動をします。

背景と目的

人口の高齢化とともに、世界規模で認知症が急増しています。このため、認知症、特にアルツハイマー病に対する対策が急がれています。しかし、ここ5~10年の疾患修飾薬の開発・治験の進展は十分とはいえません。このことから、治験での円滑な患者登録の促進化が必要となっています。今後、前臨床期、軽度認知障害および早期アルツハイマー病を対象とした治験を進めるために、大規模な効率性の高いリクルート法の確立が求められています。

また、疾患修飾薬が開発されるまでの間、認知症のリスク因子を検証し、リスク因子である生活習慣への介入を行うことも必須の課題です。認知症予防を目的とした臨床研究で、有効性を検証できる規模とするためにも、大規模なリクルートが必要です。

本研究では、認知症発症への予防的研究において対象者の円滑な登録を行うための基盤となる健常者の登録システムを運用します。登録はインターネットから行います。

運用・構成

  1. 登録可能な方
  1. システムデザイン
  1. 登録予定数
  1. 参加者のリクルート方法について
  1. 登録システム
  1. 運用システムについて
  1. 臨床研究・治験関係者への専用サイトについて
  1. 事務局管理用専用サイトについて
  1. 認知機能検査について

 

コールセンターによる認知機能検査

図2 コールセンターによる認知機能検査

 

 

 

  1. 医学倫理的配慮について
  1. 個人の人権擁護について

個人情報保護

図3 個人情報保護

 

 

 

  1. 登録者への結果説明
  1. 本システムで得られるデータ利用について

本活動の意義と今後の展望

本活動にインターネット上で登録した参加者は、記憶機能検査結果の半年ごとの経過を知ることができます。これによりベースラインの記憶機能検査結果で異常値を示す登録者、または経時的に低下がみられる登録者が生活習慣の改善などにより認知症の発症を予防する臨床研究や認知機能の改善が期待される薬の治験に参加することが期待されます。また、この半年ごとの記憶機能の経過に関連する因子を入力された生活習慣などに関するアンケート情報から調査し、認知症の発症予防に役立てることもできると考えます。

これまでの治験や臨床研究では、ある一定の対象者(健常者、軽度認知障害, 認知症)に対し、介入の有無に関わらず、ある一定のエンドポイントに関してその経過を観察するものが多くみられました。しかし、認知症は多くが、慢性進行性の経緯を辿り、健常者から、前臨床期、軽度認知障害、軽度アルツハイマー型認知症、中等度アルツハイマー型認知症、進行期アルツハイマー型認知症まで移行していきます。これらのことから健常者の参加者をリクルートすることは、アルツハイマー型認知症の予防研究に必須と考えられます。

すでに欧米では、 インターネットを用いた健常者レジストリシステムとしてBrain Health Registryが運用され、既存およびこれからの臨床研究からの健常者や前臨床期の参加者のレジストリシステムとしてEuropean prevention of Alzheimer’s dementia consortiumやGlobal Alzheimer’s Platform が構築され運用されつつあります。すでに、IROOPTMはBrain Health Registryと協調していくことになっており、本システムの果たす意義は国際的にも極めて大きなものと思われます。なお、本年7月に開催される国際アルツハイマー病学会にて、IROOPTMの紹介を行う予定です。

臨床研究・治験の案内

図4  臨床研究・治験の案内

 

 

 

用語の説明

新オレンジプラン

厚生労働省の認知症施策推進総合戦略。「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」ことを基本的考え方とする。

レジストリ

医学の前向き研究の進め方のひとつ。多施設において疾患の情報をデータベースに登録し、症例を積み重ねていき、疾患のさまざまな原因や経過などについて統計的に検討する方法。

活動グループ

国立精神・神経医療研究センター
水澤英洋、松田博史、今林悦子、舞草伯秀、小川雅代

国立長寿医療研究センター
鳥羽研二、島田裕之、鈴木啓介、渡辺 浩

横浜市立脳卒中・神経脊椎センター
秋山治彦(日本認知症学会理事長)

大阪市立大学医学研究科
森 啓

活動支援・助成金

本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の認知症研究開発事業「時間軸を念頭に適切な医療・ケアを目指した、認知症の人等の全国的な情報登録・連携システムに関する研究」(主任研究者;国立長寿医療研究センター、鳥羽研二)の支援により構築され、同じく国立研究開発法人日本医療研究開発機構の認知症研究開発事業「認知症疾患修飾薬の大規模臨床研究を効率的に推進するための支援体制と被験者コホートの構築に関する研究」(主任研究者;大阪市立大学、加藤祐一)の支援により運用されます。

参考文献

Shankle WR, Mangrola T, Chan T, Hara J. Development and validation of the Memory Performance Index: reducing measurement error in recall tests. Alzheimer’s Dement. 2009;5(4):295-306.

Cho A, Sugimura M, Nakano S, Yamada T. The Japanese MCI screen for early detection of Alzheimer's disease and related disorders. Am J Alzheimers Dis Other Demen. 2008;23(2):162-6.

*本リリースは、厚生労働記者会、厚生日比谷クラブに配布しております。

お問い合わせ

研究に関すること

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)脳病態統合イメージングセンター長 松田博史
〒187-8551 東京都小平市小川東町4-1-1 TEL. 042-341-2712 (内線2171)
E-mail:matsudah@ncnp.go.jp

報道に関すること

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP) 広報係
TEL: 042-341-2711(代表)/FAX:042-344-6745
E-mail: ncnp-kouhou<アット>ncnp.go.jp


国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 総務課総務係
TEL: 0562-46-2311(代表)/FAX:0562-48-2373


国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 戦略推進部 脳と心の研究課
TEL: 03-6870-2222/FAX:03-6870-2244
E-mail: brain-d<アット>amed.go.jp

*E-mailは上記アドレスの<アット>の部分を@に変えてください。
*このプレスリリースは国立研究開発法人 日本医療研究開発機構のホームページでも紹介されています。

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