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No.45 定年退職の前後で、こころの健康は変わるのか?

 定年退職は、60歳前後に経験することが多い出来事です。定年退職を迎えると、自由な時間が増える一方で、収入が減るなど、日常生活にさまざまな変化が生じることがあります。そのため、定年退職はこころの健康に影響を与えると考えられてきました。しかし、定年退職がこころの健康に良い影響を与えるのか、それとも悪い影響を与えるのか、結論には至っていません。そこで今回は、定年退職前後にこころの健康はどのように変わるのかについて、調べてみました。

 NILS-LSAの第1次から第8次調査までのデータを用いて、初めて調査に参加した年に働いており、第7次調査までに定年退職を経験した256名を分析対象としました(8割は男性で、9割は正規雇用でした)。こころの健康の指標として、抑うつ傾向を測りました。得点が高いほど、抑うつ傾向が高いことを意味します。

 

 定年退職前後に抑うつ傾向がどのように変化するか分析しました。その結果、平均的には、定年退職前後に抑うつ傾向は変化していませんでした。一方で、定年退職後に抑うつ傾向が高くなる人もいれば、抑うつ傾向が低くなる人もおり、抑うつ症状の変化の仕方は人によって大きく異なっていました。

 定年退職後に抑うつ傾向が高くなる人と低くなる人の違いは、まだよくわかっていません。これまでの研究では、定年退職をいつ経験するかは予測できるため、定年退職前からよく準備していた人は、定年退職後にこころの健康を良く保つことができると考えられています。

 たとえば、トピックスNo.16「”趣味活”でイキイキした毎日を!」では、趣味や習い事をして過ごすことが、認知機能の維持に良い影響を及ぼすことをご紹介しました。定年退職後に自由な時間が増えた時、何をして過ごすか計画を立てるなど、定年退職後の生活に向けて準備することが、定年退職後に充実した生活を送る手がかりになるかもしれません。

 


定年退職に伴う生活の変化に対し柔軟に対応して,定年退職後に充実した生活を送りましょう!

<コラム担当:TN>

 

*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています*

中川威・西田裕紀子・丹下智香子・富田真紀子・大塚礼・安藤富士子・下方浩史
定年退職前後における抑うつ症状の変化
日本発達心理会第31回大会, 2020/03/02.

 

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