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No.44 【フレイル】良質なたんぱく質とは?(2)~食事ごとのたんぱく質摂取と筋肉量~

 最近、テレビや雑誌でも「フレイル」という言葉が取り上げられるようになってきました。トピックスNo.27「フレイルに気をつけて」でご紹介しましたが、フレイルとは、心身のさまざまな機能が加齢や病気などによって低下した状態をさします。フレイルになると、日常の生活で生じる様々なストレスに対処することが難しくなり、生活能力が低下し、死亡率が高まることもあります。

 フレイルを予防し、健康で長生きするためには筋力を維持することが大切であるため、近年では筋肉の素となる「良質なたんぱく質」の摂取が注目されています。トピックスNo.9「良質なたんぱく質とは?」では、プロリンというアミノ酸の摂取が知的な能力に良い影響を与えることをご紹介しました。今回はたんぱく質摂取と筋量(筋肉の量)の維持の関連についてご紹介します。

 まず、良質なたんぱく質とは何か、おさらいをしてみましょう。たんぱく質を構成するアミノ酸は20種あり、なかでも9種の必須アミノ酸は体内で合成できないため、食事から摂る必要があります。9種の必須アミノ酸をバランス良く含むたんぱく質を「良質たんぱく質」と呼びます。では、なぜ9種の必須アミノ酸をバランス良く摂取することが大事であるのか、「アミノ酸の桶(おけ)理論」でご説明します。図1のように9種のアミノ酸から成る桶があるとすると、摂取したたんぱく質に含まれるアミノ酸のバランスが悪い場合、そのたんぱく質は最も少ないアミノ酸の量までしか体内で利用できないと考えられています。つまり、摂取したたんぱく質を効率よく利用するには、良質なたんぱく質を摂ることが必要なのです。(良質たんぱく質を含む食品についてはトピックスNo.9へ)

図1 アミノ酸の桶理論 

 それでは、最近NILS-LSAで公表した、朝、昼、夕の食事で摂取されるたんぱく質と筋量との関連についての研究成果をご説明します。

 第5次調査時(2006-2008年)に60-87歳だった参加者の方のうち、第6次調査(2008-2010年)にも参加してくださった665名の方を対象に、朝、昼、夕の各食事でのたんぱく質摂取量を調査しました。そしてそれぞれの食事でのたんぱく質摂取量をもとに男女別に、多い群・中程度の群・少ない群の3つのグループに分類し、2年後の筋量低下との関連を検討しました。その結果、男性では、一日のたんぱく質摂取量の多さだけでなく、特に昼食のたんぱく質摂取量が多い群では、少ない群に比べて2年後に筋量低下が起こるリスク()が抑制されることが分かりました(図2)。さらに、食事の内容を検討したところ、昼食のたんぱく質摂取量が多い群では、肉、卵、乳製品の摂取割合が高いことも分かりました。これらの食品は、いずれも良質なたんぱく質を多く含む食品です。

図2 60-87歳男性における朝食・昼食・夕食のたんぱく質摂取量の筋量低下に対するオッズ比

 また、昼食のたんぱく質摂取量の多い方は三回の食事それぞれで、たんぱく質の必要量を満たしていることが多いということも分かりました。私たちの筋肉は絶えず合成と分解を繰り返しており、分解は空腹時に、合成は食後に起こります。今回は一日のたんぱく質摂取量の中でも特に昼食のたんぱく質摂取量の多さが筋量維持と関連していましたが、食事ごとのたんぱく質の質が不良だったり量が不十分だったりすると、筋肉の分解が進みやすくなります。三回の食事それぞれにおいて良質なたんぱく質を食べることは、筋量を維持するために大切であると考えられます。

筋量低下はアジア人のサルコペニアの基準(Chen LK, JAMDA. 2014)で評価。)

 

筋量維持のためには朝、昼、夕の食事それぞれで肉、魚、卵、牛乳・乳製品、大豆など良質なたんぱく質を取り入れるように心がけましょう

 

【国立長寿医療研究センター 外来診療科のご案内】

病院外来:ロコモフレイル外来  >>

<コラム担当:KK>

 

*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています*

Rei Otsuka, Yuki Kato, Chikako Tange, Yukiko Nishita、Makiko Tomida, Tomoko Imai, Fujiko Ando, Hiroshi Shimokata, and Hedenori Arai.
Protein intake per day and at each daily meal and skeletal muscle mass declines among older community dwellers in Japan.
Public Health Nutrition 1-8, 2019

 

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