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No.38 「ワーク・ファミリー・バランス(仕事と家庭の両立)」と「健康」の関係

 我が国は少子高齢社会を迎え、労働力人口における65歳以上の人々の比率は上昇し続ける傾向にあります(平成30年版高齢社会白書)。それにともない、仕事と家庭生活をよりよく両立すること、すなわち「ワーク・ファミリー・バランス」の実現が中高年者の重要な課題となっています。トピックNo.15「仕事を続けて家庭円満!?」では、高齢な方において「仕事をしていることが家庭生活にとってもプラスの影響を持つ」という実感が高まることをご紹介しました(例えば、仕事をしていることで、家族にとっても魅力的な存在になれると感じる、など)。今回は、この「仕事から家庭へのプラスの影響」に着目し、「ワーク・ファミリー・バランス」と中高年者が働き続けるために大切である「健康」との関連をご紹介したいと思います。

 これまでのところ、「ワーク・ファミリー・バランス」と「健康」の関係は、十分に明らかになっていません。例えば、健康であるからこそ、仕事と家庭を上手く両立しながら働き続けることができると考えられます。その一方で、仕事と家庭を上手く両立して働き続けていることが、健康維持に役に立っているということもあるでしょう。

 

 このように「ワーク・ファミリー・バランス」と「健康」は、お互いに影響し合うことが想定されますが、実際にはどちらが原因でどちらが結果なのか、という疑問が生じます。そこで、以下の検討を行いました。

 

 NILS-LSAの第7次調査(1回目測定)と第8次調査(2回目測定)の両方に参加された方のうち、調査当時、働いていらっしゃった1,054名の方々を対象に、「ワーク・ファミリー・バランス」と「健康状態の良さ」をお尋ねしました。そして、この2回の調査データを使い「ワーク・ファミリー・バランスがその後の健康に影響するのか?健康がその後のワーク・ファミリー・バランスに影響するのか?」ということ、つまり「ニワトリが先か?卵が先か?」ということを検討しました。

 


 その結果、図で示すように、60歳以上の高齢女性において「健康状態の良さ」がその後の「ワーク・ファミリー・バランス」を高める、という結果になりました。すなわち、高齢女性は健康であるほど、仕事と家庭の役割を同時にこなすマルチタスクを上手く行えるようになる、ということが分かります。

 なお、今回は高齢女性での「仕事から家庭へのプラスの影響」の側面についてご紹介しましたが、「ワーク・ファミリー・バランス」の他の側面については、中年期ではむしろ逆の因果関係(「ワーク・ファミリー・バランス」が「健康状態の良さ」へ影響する)があることも分かっています。このような年代による「ワーク・ファミリー・バランス」と「健康状態の良さ」の因果関係の逆転は、この分野の研究において興味深い点です。

 近年、できるだけ長く働き続けたい、という高齢者の方々が増えています。仕事と家庭生活とを上手く両立させていくためには、自身の健康状態を健やかに保つことが重要です。

 

 

健康維持に努め、仕事と家庭生活を上手く両立できるようにしましょう

<コラム担当:MT>

 

*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています*

富田真紀子・西田裕紀子・丹下智香子・中川 威・大塚 礼・安藤富士子・下方浩史(2018) 中高年者のワーク・ファミリー・バランスと主観的健康感の因果関係: 3年間の縦断的検討,日本心理学会第82回大会
 

 

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