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すこやかな高齢期をめざして ~ワンポイントアドバイス~

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お魚とお肉、よく食べるのはどちら?

老化疫学研究部 Department of Epidemiology of Aging

日本は豊富な水産資源に恵まれ、古くから魚を貴重なたんぱく源としてきました。しかし近年、特に若い世代で「魚離れ」が進行しているといわれています。水産庁の資料によると国民1人1日当たり魚介類摂取量は近年減少傾向にあり、肉類摂取量はほぼ横ばいのため、平成18(2006)年には初めて肉類が魚介類の摂取量を上回ったことが報告されています。

皆さんは、普段、お魚とお肉、どちらをよく食べていますか?

下図は、「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA:ニルス・エルエス・エー)」の第1次調査(1997年から2000年)と第6次調査(2008年から2010年)の両調査に参加してくださった1,130人の方々を第1次調査の年齢で40、50、60、70歳代に分け、両調査での魚介類と肉類摂取量の平均値の推移を示しています。

皆さんも昨日の食事を思い出して、ご自身がどのあたりにいるか、確認してみましょう。

[目安量]

食品の摂取量の目安表。ささみ1本50g、生姜焼き用豚肉1枚25g、カレー用牛肉一片15g、サンマ一切正味100g、鮭一切れ100g、芝エビ1尾正味5g

NILS-LSA第1次調査(1997年から2000年)と第6次調査(2008年から2010年)の両調査に参加した1130人における1日あたりの魚介類と肉類摂取量の推移を示した図。図中のプロットは、青い白抜きの四角形が男性の第1次調査の平均値を示し、青塗りの四角が第6次調査の平均値を示す。赤い白抜きの丸印が女性の第1次調査の平均値、赤塗りの丸印が第6時調査の平均値を示す。

図中のしるしを見ると、NILS-LSA対象者の皆さんは肉類より魚介類摂取量(g:グラム)が多いようですね。「白いしるし」(白抜きの四角□や丸○)の第1次調査と「塗りつぶしたしるし」(青く塗りつぶした四角や赤く塗りつぶした丸)の第6次調査の約10年間では肉類摂取量はあまり変わらないものの、魚介類摂取量が男性の60歳代と70歳代、女性の50歳代で10gから20g程度減少しています。

お肉もお魚も私たち日本人にとって、たんぱく質の重要な供給源です。種類によって異なるものの、お肉にはエネルギー代謝に重要なビタミンB群や鉄分、コラーゲンなどが多く含まれ、過剰摂取は動脈硬化や脂質異常症のリスクを高めますが、栄養価の高い貴重な動物性たんぱく源です。お魚にも他の食品にはほとんどないエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)など抗血栓作用や血中脂質低下作用をもつ脂質が多く含まれており、動脈硬化性疾患などの予防に有用と考えられています。

生産技術や流通システム、貯蔵技術の開発により、私たちは鮮度の高い世界各国のお魚やお肉を(たとえば近隣スーパーや市場で)手軽に手に入れることができるようになりました。この恩恵に感謝しつつ、魚か肉、どちらか片方よりも双方を、そして様々な種類を楽しみたいですね。お魚もお肉も両方食べる方が、健康維持には好ましいと考えられます。また、料理のレパートリーが増えることで食卓が賑やかになり、食事の楽しみも増すでしょう。 さあ、是非おいしそうな食材を見つけて、良質たんぱく質を体内に取り入れませんか。

肉も魚もどちらかに偏らず、両方おいしく食べましょう!

 

<コラム担当:大塚 礼>

 

*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています*
大塚礼,加藤友紀,今井具子,安藤富士子,下方浩史:
地域在住中高年男女における出生コホート別の10年間の魚介類およびEPA・DHA摂取量の推移
栄養学雑誌. 2013;71(4):185-195.

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