運転寿命延伸プロジェクト・コンソーシアム

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交通事故の原因は?予防は可能か?

運転寿命延伸プロジェクトとは

  • そもそも交通事故の原因は?
  • 高齢者の交通事故は予防できるの?

そもそも交通事故の原因は?

交通事故の原因

交通事故の原因には「ひと」、「クルマ」、「道路環境」という3つの要素があります。その中でも「ひと」、つまり運転者に起因する割合が極めて高く、この運転者のエラーをどのように防ぐかが交通事故を予防するために最重要課題になります。

運転者のエラーを減らすために

運転者のエラーには、認知ミス、判断ミス、操作ミスがあります。この3つの中で最も多いミスは、認知ミスであり、安全運転教育の充実や危険に対応できる自動車の開発が必要になります。

  • 認知とは

    運転者にとっての周囲の交通状況における異常や危険を見つけ、認識すること
    (認知的ミスの例:交差点の歩行者や車両の見落とし)

  • 判断とは

    認知した結果に対してどのような行動をとればよいのか決定すること
    (判断ミスの例:交差点であるが、誰もいないだろうと判断する)

  • 操作とは

    判断に従って運転操作を実行すること
    (操作ミスの例:ブレーキとアクセルの踏み間違え)

参考文献:ITRDA INFORMATION 2001, No33

  • 高齢者に多い交通事故

  • 安全運転教育の例

    現在、既存の安全運転教育の1つとして、70歳以上の方が運転免許更新時に受ける高齢者講習があります。高齢者講習では、主に①加齢に伴う身体機能の変化や地域における交通事故の実態、高齢者の交通事故の特徴と防止策等についての講義、②動体視力、夜間視力や水平方向の視野の範囲の測定、③自動車学校内を実際に運転し、指導員から助言を受けるといった内容を行います。

高齢者の交通事故は予防できるのか?

現在までの日本国内での検証

では、高齢者に安全運転教育を行っていくことで、交通事故を予防することはできるのでしょうか。

この疑問は、日本国内で検討されておりませんでした。そこで、国立長寿医療研究センター 予防老年学研究部では、安全運転プログラムを開発し、そのプログラムが安全運転技能を向上できるのかどうかを検討しました。

高齢者の運転技能は改善するのか?

国立長寿医療研究センター 予防老年学研究部では、MCI(軽度認知障害)*の高齢者を対象に、開発したプログラムを実施すると安全運転技能が改善するのかを検討しました。


その結果、3か月間、合計20回の開発したプログラム(実車トレーニング10回、ドライブシミュレーターとビジョントレーニング10回)により、安全運転技能が大きく向上し、その効果は1年経過しても保持出来ておりました。さらに、社会実装できるように、回数を減らして検証を行ったところ、5回や3回の実車トレーニングでも同様に安全運転技能が改善しました。

つまり、高齢者は安全運転技能を改善できる能力を有していることが明らかになりました。

*MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害):認知症ではありませんが、認知機能が年代別平均値から一定以上低下した状態と定義され、日常生活は自立している状態をさします。




今後の予定

現在までのところ、安全運転技能はトレーニングにより改善できることは明らかになりましたので、今後、その効果が一般道路で遵守され、交通事故の抑制に繋がるかどうかを検証していく必要があります。また、本プロジェクトを通して、トレーニングすべき高齢者を抽出するためのスクリーニングツールの開発や、軽度認知障害を有する高齢者の運転特性の解明といった新たな課題がみつかりましたので、コンソーシアムで検討していきたいと考えております。


①プログラムの実施による自動車事故発生の抑制 ②スクリーニングツール(機械)の開発 ③MCI高齢者の運転特性
①プログラムの実施による自動車事故
発生の抑制
②スクリーニングツール(機械)の開発 ③MCI高齢者の運転特性

参考文献:Shimada H, et al. Effects of Driving Skill Training on Safe Driving in Older Adults with Mild Cognitive Impairment. Gerontology, 65(1): 90-97, 2019.

予防老化学研究部 国立長寿医療研究センター

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