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組織恒常性研究プロジェクトチームの赤木一考プロジェクトリーダーらが、食餌制限によって腸管バリア機能が維持されるメカニズムの一端を明らかにしました

加齢に伴う腸管恒常性の破綻は、加齢依存的な炎症(inflammaging)や感染症と密接に関係することが知られています。一方で、食餌制限を行うことによって霊長類を含む多くの動物において寿命が延伸することが知られています。ショウジョウバエを用いた研究から、食餌制限によって加齢に伴い進行する腸管バリア機能の破綻が抑制できることが明らかにされていましたが、その詳細なメカニズムは明らかにされていませんでした。今回、当研究所・組織恒常性研究PTの赤木一考プロジェクトリーダーは、アメリカ合衆国Buck Institute for Research on AgingのPankaj Kapahi教授らと共同研究を行い、食餌制限によって腸細胞の適応度(fitness)が維持されることで細胞死が抑制され、腸管バリア機能を維持していることを明らかにしました。

 

転写因子Mycは、細胞増殖を促すため、がん遺伝子の一つとして知られています。また、マウスやショウジョウバエを用いた研究から、全身レベルでMycの発現が約半分に低下した変異系統は、寿命が延伸することが明らかにされていました。しかし、組織レベル・細胞レベルでのMycの役割については、不明な部分が多く残されています。研究グループは、ショウジョウバエを用いて、腸管におけるMyc(ショウジョウバエではdMyc)の発現レベルが加齢に伴って低下することを見出し、その低下が食餌制限によって抑制できることを明らかにしました。そして、腸管の分裂終了細胞特異的にdMycの発現をノックダウンすると、それらの細胞は細胞死を起こすことがわかり、無秩序に起こる細胞死によって腸管バリア機能が破綻し、食餌制限による寿命延伸効果が減弱することを見出しました。さらに、腸管の分裂終了細胞特異的にdMycの発現を断続的に強制発現することによって、加齢に伴う発現の低下を抑制させると、高栄養状態においても健康寿命が延伸することを明らかにしました。

以上の結果から、dMycは腸細胞の適応度(fitness)を示すバロメーターとして働いており、食餌制限によりその発現レベルを維持することで細胞死が抑えられ、腸管バリア機能が維持されることで寿命延伸に寄与していることが示唆されました。

本研究成果は、平成30年11月1日付けで、米科学誌「PLoS Genetics」の電子版に掲載されました。なお本研究は、国立長寿医療研究センター、米国NIH、米国AFAR財団、米国Hillblom財団からの研究助成を受けて行われました。

 

原著論文情報

Akagi K., Wilson KA., Katewa SD., Ortega M., Simons J., Hilsabeck TA., Kapuria S., Sharma A., Jasper H., Kapahi P. Dietary restriction improves intestinal cellular fitness to enhance gut barrier function and lifespan in D. melanogaster. PLoS Genetics 14(11): e1007777. 

 

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