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もの忘れセンター

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鳥飼美津代様の作品

はな

ご主人様について行った絵手紙教室で初めて書いた作品です

 

ニット帽

久しぶりに作成した編み物。

ご夫婦で仲良く着用する姿が浮かんできます

 

ベスト

 

 

 

作品のコメント

患者様はアルツハイマー型認知症と64歳の時に診断され、ご主人と二人で暮らしています。ご主人は、今まで周囲の人に頼らず、サービスも利用しないで介護されていましたが、「妻にとって良いことを」とケアのヒントを探しに当院で開催する家族教室や茶話会に参加されました。

 教室最終回の茶話会で、ご主人自身が最近趣味で絵画教室に通い始めた話をしたところ、他の介護者の方に、妻も誘ってみてはどうかと勧められました。ご主人は、他の介護者の方に背中を押されるかのように、妻を絵画教室に誘ってみました。

 患者様に横にいるだけでいいと言っていましたが患者様は、見事に絵を描きあげ、絵画教室に参加された方とも打ち解け楽しい時間を過ごされたようです。そして、その帰り道、外がとても寒かったので、ご主人様が患者様に毛糸帽子を編んでほしいとお願いをし、百円均一で毛糸と編み棒を購入し帰宅したそうです。患者様は40年前まで熱心に編み物をやっていらっしゃったそうです。ご主人様は、編んでほしいと頼んだもののこの病気になり編めるかどうか不安でたまらなかったようです。しかし、3時間ほどかけて帽子を一つ仕上げられたそうです。ご主人様は、この日、この時のことが大変うれしかったようで、ご主人さまからその時の心境を綴った絵手紙をいただきました。

 ご主人様にとっても患者様にとっても、この日の出来事は、病気と寄り添い生活する第一歩となりました。

 今回の作品は、患者様がご主人様のために丹精をこめて編んだベストです。長年培った能力は保たれ、大きさや首周りの編み方など「これではだめ、大きすぎる」といいながら、何度もほぐし作成されたそうです。網目は揃い、きれいな仕上がりですが、ご本人いわく「内側から見るとデコボコだからまだまだ」と。普段は、当外来へいらしても言葉数少ない患者様ですが、患者様の目は輝き、笑顔で熱心にお話しして下さいました。

 

奥様の様子を見てご主人様が書かれた絵手紙