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No.29 末永く自立した生活を送るために

 「良い習慣」と聞くと、どのような習慣を思い浮かべますか?今回は健康に関連する8つの習慣に注目して、これらの習慣と自立した生活を送る能力との関連をご紹介します。

 

 NILS-LSAの第1次調査(1997~2000年)と郵送調査(2013年)の両方に参加された1,269名(第1次調査時40~79歳)の方について分析を行いました。第1次調査では、健康に関連すると考えられる8つの習慣(表)と自立した生活を送る能力について調査し、郵送調査では、再度、自立した生活を送る能力を調べました。まず、第1次調査の健康に関連する8つの習慣について、良い習慣の保持数(合計)を計算して、3つのグループ(「0~4」の少群、「5~6」の中群、「7~8」の多群)に分けるとともに、第1次調査から郵送調査にかけて能力が高く保たれていた場合は「自立維持」、第1次調査から郵送調査までに能力が低下した場合は「自立低下」とみなしました。そして、良い習慣の保持数で分類した3つのグループにより、自立した生活を送る能力が低下するリスクが異なるかどうかを、さまざまな要因を考慮して検討しました。

表.健康に関連すると考えられる8つの習慣

・健康上「良い」または「良くない」と考えられる習慣の判定基準は、過去の様々な研究成果を参照し定義しました。ただし、身体活動量の
  判定基準値は集団の中央値、栄養摂取状況の判定基準値は、男女別の中央値を採用しました。
・「健康上、良いと考えられる習慣」の保持数(合計)を算出し、3グループ(「0~4:小群」、「5~6:中群」、「7~8:多群」)に
  分類しました。

 

 その結果、図に示すように、健康に関する良い習慣の保持数が「0~4」の少群に比べ、「5~6」の中群では、自立した生活を送る能力が低下するリスクが37%減り、「7~8」の多群では46%も減りました。さらに、図示していませんが、良い習慣の保持数が少群の中でも、保持数が「0~1」よりも「2~3」の方が、あるいは「0~2」よりも「3」の方が、自立した生活を送る能力が低下するリスクが減ることが分かりました。このことは、一つでも良い習慣を持つことが、将来、自立した生活を営むために有効であることを示しています。

 図.健康に関連する良い習慣の保持数と自立した生活を送る能力が低下するリスク
調整要因 : 年齢、性、第1次調査の高次生活機能得点、世帯収入、教育歴、病歴(心臓病、脳卒中、脂質異常症、糖尿病、高血圧)

 

 

 普段の習慣のすべてを一度に健康的なものへ変えることは難しいでしょう。しかし、日ごろの生活習慣を振り返り、できるものから一つでも二つでも良い習慣に改善することで、自立した生活が保たれるとすれば、素晴らしいことと思います。

 

 


 

日々の習慣を振り返り、一つずつ健康的な習慣に改善することが、将来の自立した生活につながるでしょう。

<コラム担当:RO>

 

*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています*

Otsuka R, Nishita Y, Tange C, Tomida M, Kato Y, Nakamoto M, Ando F, Shimokata H, Suzuki T.
The effect of modifiable healthy practices on higher-level functional capacity decline among Japanese community dwellers.
Prev Med Rep. 2016;5:205-209.

 

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