文字サイズ

  • 小さい
  • 標準
  • 大きい

ホーム > 老年学・社会科学研究センター > 部門 > NILS-LSA活用研究室 > すこやかな­高齢期をめ­ざして > No.12 好奇心旺盛に過ごすことの重要性

No.12 好奇心旺盛に過ごすことの重要性

 最近、新しく始めたことはありますか? 今、関心があることや、チャレンジしてみたいことはありませんか?

 

 心理学では、『好奇心が強くて、新しい経験に挑戦することが好き!』という心のもちかたのことを、「経験への開放性」と呼んでいます。近年、この「経験への開放性」が高いことが、より良く年を重ねるための重要な秘訣であることが、明らかになってきています。

 

 ひとつ、研究をご紹介しましょう。NILS-LSAでは、「経験への開放性」が、知的な能力とどのように関係するかを調べました。対象は、NILS-LSAの第2次調査から第7次調査に参加された40~82歳(第2次調査時点)の方々2,205名です。「経験への開放性」の高さは、12個の質問項目によって評価しました。知的な能力は、「知識力」検査や「情報処理のスピード」検査などを用いて、約10年間にわたって繰り返し測定しました。

 

 分析を行った結果、年齢に関係なく、「経験への開放性」の高い人は、低い人に比べて、知的な能力が高いことが分かりました。すなわち、好奇心が強くて、新しい経験に挑戦することが好きな人は、知的な能力も高い傾向があったのです。

 

 さらに重要な発見は、高齢の方ほど、「経験への開放性」という心のもちかたが、その後10年間の知的な能力の‘変化’に好ましい影響を与えていたことです。

 

 図には、75才の方を想定したときの、「経験への開放性」と知的な能力のひとつである「知識力」の変化との関係を示しました。「経験への開放性」が高い75歳の方は、もともとの「知識力」の得点が高いだけでなく、10年後、85歳になってもなお、高得点を維持することができています。しかしながら、「経験への開放性」が低い75歳の方は、もともと「知識力」の得点が低いのですが、10年後には、さらに得点が低下していました。

 「知識力」は、人生の経験を重ねることによって成熟していく、年輪のような能力です(トピックスNo.4「加齢にともなって成熟していく知的な能力とは」参照)。このような知的な能力を、心理学者のキャッテルは、宝石が結晶していくことになぞらえて「結晶性知能」と名づけました。散歩しながら草花を調べてみたり、珍しい野菜作りに挑戦してみたり、住んでいる土地の歴史を調べてみたり・・・。高齢になってこそ、好奇心旺盛に過ごして、興味や関心を広げたり掘り下げたりすることは、結晶性知能をいっそう磨くこと、さらには、人生をより実り豊かなものにすることにつながると言えそうです。

 


年を重ねてこそ、好奇心旺盛に過ごしましょう!

<コラム担当:YN>

*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています*
西田裕紀子・丹下智香子・富田真紀子ほか:中高年者の開放性が知能の経時変化に及ぼす影響 : 6年間の縦断的検討.発達心理学研究,23,276-286,2012.

 

 

< No.11 「ロコモティブシンドローム(ロコモ)をご存知ですか」を表示

         No.13 「動くことは脳を鍛えること」を表示 >