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No.10 速く歩けること、バランスを保てることの大切さ

 イスから立ち上がるとき、ついつい「よっこらしょ」なんて言っていることはありませんか。若い頃はそんなこと言わなかったのに年をとったのかしら・・・、なんて冗談まじりに言うことがありますが、もしかしたらそれは、「健康で長生きできるかどうか」と関わっているかもしれません。

 

 最近、身体能力を調べることで寿命を予測できることが報告されています。たとえば、歩く速さ、イスから立ち上がるのにかかる時間、片足立ちでのバランス能力といった身体能力がより高いほど長生きできるというデータが発表され、あらためて身体能力の重要性が認識されるようになりました。

 

 しかし、寿命は単に長ければよいのでしょうか。
平成25年の時点で日本人の「平均寿命」は男性で80.2歳、女性で86.6歳ですが、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間を指す「健康寿命」は、男性で71.2歳、女性で74.2歳といわれています。「平均寿命」と「健康寿命」の間には男性で約9年、女性で約12年の差があるのです。多くの方が望むのは、単に長生きすることではなく、「平均寿命」と「健康寿命」の差をできる限り小さくし、最後まで健康でいきいきとした生活を送ることではないでしょうか。

 

 「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」では、「健康で長生きする」ことの重要な指標である「自立した生活を送る能力」に注目し、身体能力(握力、歩く速さ、バランス能力)との関係を調べました。「自立した生活を送る能力」にはさまざまなものがありますが、今回は特に、電車に乗ったり、電話の対応をしたり、買い物、食事の支度、洗濯、服薬管理、金銭管理などのより複雑な生活行動や、状況に対応する能力、社会的役割を担う能力といったより高いレベルの能力に焦点をあてています。

 以下の図をごらんください。NILS-LSAの1回目の調査とその14年後に行った調査のどちらにも参加してくださった961名(男性466名、女性495名)の方の、筋力、歩く速さ、バランス能力と「自立した生活を送る能力」との関連について分析した結果を示しています。

 

 女性では、速く歩くほど「自立した生活を送る能力」は低下しにくく、バランス能力が低い人ほど「自立した生活を送る能力」は低下していました。一方、男性では、歩く速さやバランス能力と「自立した生活を送る能力」との関連はありませんでした。

 

 これらの結果から、特に女性において、歩く速さやバランス能力といった身体能力が、「自立した生活を送る能力」を維持するために重要であることが分かりました。もちろん、「いきいきと健康に長生きする」ためには、身体だけでなく、心の状態も大きく関わってきます。自分の身体の状態を意識するとともに、「自分を好き」と思う気持ちを大切に(トピックスNo.5)したり、自分にできる役割をもつ(トピックスNo.2)など、心の健康も保ちながら、生活していくことを心がけましょう。

 

※注意※

急にたくさん運動したり、速く歩かなければ・・・と無理したりするのは大変危険です。年齢や身体の健康状態に合わせて、可能な範囲で身体を動かすことが重要です。

 


歩行能力とバランス能力を維持して、健康でいきいきとした生活を送りましょう! 

<コラム担当:MN>

*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています*
Nakamoto M, Otsuka R, Yuki A, Nishita Y, Tange C, Tomida M, Kato Y, Ando F, Shimokata H, Suzuki T:Higher gait speed and smaller sway area decrease the risk for decline in higher-level functional capacity among middle-aged and elderly women Archives of Gerontology and Geriatrics, 61:429-436, 2015.

 

 

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